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編集後記
郡 健二郎
pp.272
発行日 2012年3月20日
Published Date 2012/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102654
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本稿を書いている今日,2月11日は「建国記念の日」です。1か月後は,東日本大震災から早1年が経ち,遅れていた復旧・復興に向け,日本の強い「絆」と活力が必要となります。私たちは,大震災後に,「絆」の大切さを思い起こし,「今年の漢字」として“絆”が選ばれました。これから日本を本格的に復興させるときです。同じ考え方を持つ人達が集まる絆だけではなく,個々が独自の意見を持ち,話し合い,最終的には1つの方向に進む絆が,今求められています。
本日の全国紙と中日新聞の紙面には,社説欄を含め,建国記念の日を扱う記事は探すほどしかみあたりません。建国記念の日が設置されたのは1966年。その前の約10年間は,識者らが議論を戦わし,街では賛否に分かれて集会が開かれました。2月11日は紀元節であったことから,軍国主義が復活するとの懸念と,建国をしのび日本を愛する心を養うという推進論の2つでした。あの頃は,建国記念の日に対してだけでなく,国論を二分する熱い議論が盛んに行われていました。しかもその議論には歴史観があり,将来を見据える力を感じました。その活力が戦後からの著しい復興の原動力になったのだと思います。
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