特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■腎尿管全摘除術
067 尿管下端から壁内尿管までの剝離が難しい
小原 航
1
Wataru Obara
1
1岩手医科大学大学院医学研究科泌尿器科学講座
pp.189-190
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102315
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Q 腎尿管全摘除術を開始した尿管下端の尿管癌の症例。壁内尿管にも腫瘍が詰まっているような状態で,尿管下端から壁内尿管まで十分な剝離が困難である。
[1]概 説
尿管癌に対する標準治療は,患側の腎尿管全摘除術である。腎尿管全摘除術は,腎周囲のGerota筋膜内の脂肪組織とともに腎,尿管を切離し,尿管膀胱吻合部の膀胱壁をカフ状に切除する術式で,副腎の切除の有無は問わないと定義されている1)。
術中操作で最も重要な点は,尿管外に腫瘍組織を播種させないことと,不完全切除にならないよう確実に腫瘍を切除することである。尿管口を不完全に切除すると,再発した場合に手術の影響で膀胱粘膜が埋没して再発腫瘍の発見が遅れることがあるので,確実に尿管口も切除することが肝要である。
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