書評
「透析療法事典 第2版」―中本雅彦,佐中 孜,秋澤忠男 編
酒井 糾
1
1北里大学
pp.37
発行日 2010年1月20日
Published Date 2010/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101881
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透析療法が腎不全の治療として認知され,40年以上が過ぎようとしている。その間積み上げられた知識と技術が今では治療医学の一角を占めるほどに進化した。オックスフォードの医学辞典によると,20世紀の治療医学で目覚ましい発展を遂げた領域の1つであると評価されていると聞く。わが国の慢性透析患者数も年々増加の一途をたどり,2008年末には28万人を超えた。
透析医療に携わる医療従事者の職種も広がりをみせ,最近では福祉・介護関係の人たちも関与する機会が増えている。治療医学の面からすると,医師のみならず,理工学者の参加,社会学者の参加すらも必要とされる分野として発展を続けている透析療法である。また医療のシステム化,社会化といった流れからすると,それこそ一般業界,行政機関,政府関係者の間にあっても透析医療の意味と価値を知ってもらうことが不可避となりつつある。このように医療界のみならず社会とのつながりの中で展開,発展している領域になっている。こうした医療環境の中で必要とされるのが正しい知識と技術,その意味と価値を知らしめる情報提供手段ということになる。専門技術として,また総合的解説の両者を兼ね備えた内容として書かれた『透析療法事典 第2版』は,まさしく時宜を得たものである。
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