書評
「救急レジデントマニュアル 第4版」―相川直樹,堀 進悟 編
豊岡 照彦
1
1東京大学・循環器内科学
pp.789
発行日 2009年9月20日
Published Date 2009/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101813
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救急診療は,初期治療が患者の予後を決定する大きな要因である。初期対応によって将来のQOLも左右する面があり,特に実践性が重視される。今回,慶應義塾大学救急医学のスタッフが中心になって執筆した『救急レジデントマニュアル第4版』は,初版以来のコンセプト,「理論より実践」や「時間軸に沿って,優先順位と簡潔な記述」を重視する理念を活かしつつ,大胆な改善が随所に加えられた。
最近の阪神大震災,地下鉄サリン事件や9・11などの大規模なテロ活動,新型インフルエンザに代表されるように,救急部が扱う領域は内科,外科の枠を超えて多岐にわたり,かつ複雑化している。一方,社会的には医師の絶対数は増加しつつあっても,産婦人科,小児科の救急体制は一部の施設で撤退せざるを得ないほど逼迫しており,緊急医療の整備として今後救急部への要望は一層高まると予想する。
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