交見室
「エンドトキシン吸着療法が有効であった前立腺生検後の敗血症」(臨泌62:323-325,2008)につきまして
小野 芳啓
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1古作クリニック玉村分院
pp.729
発行日 2008年8月20日
Published Date 2008/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101561
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日常ありふれた検査に伴う重症感染症の報告として拝見いたしましたが,記載不十分な点を感じましたので質問させていただきます。いうまでもなく,経直腸的前立腺針生検は細菌が常在する直腸粘膜を通過しますので,局所感染と菌血症の予防が必要です。このため,検査時には抗菌薬の血中濃度と組織内濃度を高めておく必要があり,従来から予防的抗菌薬投与が一般的です。堀論文では予防的抗菌薬投与についての記載がありませんので,敗血症治療の議論以前に予防対策が不明ですがいかがでしょうか。また,経直腸的針生検は無麻酔ないし粘膜麻酔で行っている施設も多いと思われ,腰椎麻酔でしたら麻酔レベルを十分に下げ,麻酔薬の量を最低限量にすれば尿道カテーテルの留置は不要か間歇導尿ですみ,感染リスクが減りQOLも向上すると思います。われわれが所属する日本泌尿器科学会のガイドライン1)でも広域βラクタマーゼ保有株の増加に触れておりますし,検査前からのニューキノロン剤投与を強く推奨しておりますので,ご参照いただけましたら幸いです。
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