特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
5.腫瘍(外来化学療法)
【術後排尿障害】
64.根治的前立腺全摘除術後の尿失禁の患者です。対処と処方について教えてください。
松本 修
1
1三木市立三木市民病院泌尿器科
pp.221-223
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101444
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1 診療の概要
早期前立腺癌に対する前立腺全摘除術は,根治療法として広く行われている。手術関連の合併症は性機能障害と尿失禁が代表であるが,性機能障害に対する関心度は欧米ほどには高くないといわれており,QOLの観点から尿失禁が術後の最大の問題である。
前立腺全摘術後の尿失禁の2/3以上は外尿道括約筋不全が原因であるが,排尿筋過活動や低コンプライアンス膀胱などが関与する尿失禁も30~40%にみられる。術後尿失禁の頻度は,尿禁制をどう定義して評価するかによって異なってくる。尿禁制の定義を「まったく尿が漏れない」とするならば,術後12か月の時点でも40~80%程度の尿禁制率である。しかし,「1日のパッド使用が1枚以下」と定義すると,12か月目で90%以上の尿禁制率を達成することとなる。また,「パッドを使用しない」との定義は必ずしも尿がまったく漏れないことを意味するわけではなく,1/3程度の患者は何かの拍子に少量の尿失禁を自覚している1)。「パッドを使用しない」ことが定義である場合は,12か月目の尿禁制率は70~90%である。
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