特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
8.そのほか
【水腎症】
92.エコーで水腎症が指摘された,経過良好な妊娠7か月の胎児です。対処と処方について教えて下さい。
井口 太郎
1
,
坂本 亘
2
,
石井 啓一
2
,
浅井 利大
1
,
上川 禎則
1
,
金 卓
1
,
杉本 俊門
1
1大阪市立総合医療センター泌尿器科
2大阪市立総合医療センター小児泌尿器科
pp.331-334
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100300
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1 診療の概要
近年,産科的超音波診断技術の進歩により,胎児異常の早期診断が可能となってきている。胎児尿路異常もその1つで,水腎症は全妊娠の約1%にみられるが,在胎32週以降では胎児の尿量増加による腎盂腎杯の生理的拡張も多く,病的か否かの鑑別に注意を要する1)。出生後,泌尿器科的な検査や治療が必要とされるのは,そのうちの約2割に過ぎないといわれている2)。産科や小児科では水腎症の評価を腎盂前後径をもって評価することが多いが,小児泌尿器科では腎杯の変化を取り入れたThe Society for Fetal UrologyによるSFU分類が用いられてきた3)。最近では腎杯の変化を中心に同じ基準に沿って議論ができるように,日本小児泌尿器科学会(Japanese Society of Pediatric Urology)が作成した分類(JSPU分類)で評価することが推奨される(表1,図1)4)。
胎児水腎症をきたす疾患としては,腎盂尿管移行部狭窄(UPJO),膀胱尿管逆流(VUR),巨大尿管,尿管瘤,尿管異所開口を含んだ尿管膀胱移行部狭窄(VUJO),後部尿道弁などがあるが,特にUPJOとVURの頻度が高い。UPJOや巨大尿管以外による水腎症は,その多くが原疾患に対する外科的治療の対象となる。
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