特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■神経因性膀胱障害
【排尿障害】
35.尿道留置カテーテルが留置されているADL不良の尿閉状態の患者です。対処と処方について教えて下さい。
西澤 理
1
1信州大学医学部泌尿器科
pp.128-129
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100243
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1 診療の概要
尿閉は膀胱内に大量の尿が貯留しているのに排尿ができない状態である。尿閉を起こす疾患は神経因性膀胱,前立腺肥大症,前立腺癌,尿道狭窄,尿道結石症,膀胱癌などがある。尿閉の原因は2つに区分される。脳血管障害,脊髄損傷,骨盤腔内手術後(子宮癌・直腸癌術後),神経変性疾患および糖尿病などに起因する神経因性膀胱に代表される膀胱収縮力がない場合と,前立腺肥大症に代表される尿道抵抗が高い場合である。尿閉の誘因は原因疾患により特徴があり,前立腺肥大症では飲酒時,かぜ薬の服用後,長時間の坐位後に起こりやすい。
神経因性膀胱では,脳血管障害,脊髄損傷,骨盤腔内手術後(子宮癌・直腸癌術後)の場合には原因疾患の発症と同時に尿閉が急激に起こる。神経変性疾患および糖尿病では徐々に尿閉に至ることが多い。尿道留置カテーテルの適応はADL不良のみの場合にはなく,自排尿が可能であればオムツ排尿が選択される。神経因性膀胱の患者においてはADLの良,不良にかかわらず,膀胱収縮力が回復するまでは通常は尿道留置カテーテルを留置せざるを得ない。患者が尿道留置カテーテルの抜去を希望し,カテーテルを自分で操作できる場合には自己導尿を指導する。尿道抵抗の高い尿道閉塞性疾患では,閉塞病変自体を治療できない場合は自己導尿あるいは尿道留置カテーテルが適応となる。
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