Derm.2002
素人だからわからない
川端 康浩
1
1東京大学医学部皮膚科
pp.154
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903957
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昨今の医療全般に対する厳しい風潮を受けてか,当院にも医療安全管理対策室が設置された.初代室長には皮膚科玉置教授が就任され,私が対策室兼任医師に任命された.毎日届けられるincident reportに目を通していると,よくぞこれほど多くのincidentが生じるものだと驚くばかりである.もちろん,生命にかかわるような大事故につながるものはほとんどないのだが,こうした小さなミスの積み重ねやダブルチェックが機能しなかった場合を想像すると背筋の凍る思いである.
われわれの日常診療の中でrisk managementとは何だろうかと考えてみる.それはとりもなおさず,これから行おうとする行為,現在置かれている状況,かかわっている人物(患者とは限らない.ときに医師,看護婦)がどの程度の危険性があるか認識することだろう.医療者・教育者である以上,リスクを回避してばかりはいられない.危険であってもあえてやらなければならないこと,状況は無数にある.とすれば,いかに各事象における危険度を認識し,危険性が高いと判断した場合には慎重な対応をとるかということが重要になってくる.Incidentの多くが危険性の認識不足によるということは歴然としている.
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