Japanese
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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2001
2 皮膚疾患の病態
毛包成長とSTAT 3
Control of hair follicle growth by STAT 3
佐野 栄紀
1
Shigetoshi SANO
1
1大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Osaka University Graduate School of Medicine
キーワード:
毛包成長
,
毛周期
,
STAT 3
,
組織特異的遺伝子破壊法
,
シグナル経路
Keyword:
毛包成長
,
毛周期
,
STAT 3
,
組織特異的遺伝子破壊法
,
シグナル経路
pp.53-57
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903544
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毛包成長は毛包上皮細胞と毛乳頭との相互作用により起こる.その機序についていまだ十分に解明されていない.我々はEGF,HGF,IL−6など成長因子・サイトカインの刺激を伝える細胞内刺激伝達物質であるSTAT 3の役割を明らかにするために,組織特異的遺伝子破壊法を用いて表皮角化細胞および毛包上皮細胞選択的にSTAT 3遺伝子を破壊したマウスを作製した.このSTAT 3破壊マウスは皮膚創傷治癒の遅延,第2毛周期の欠落を認め,培養細胞の解析により角化細胞の遊走能に障害があることが明らかになった.このマウスはやがて皮膚潰瘍を多発しさらに脱毛をきたす.しかし抜毛刺激あるいはPMA塗布による実験的毛包成長は正常対照マウスと同様,STAT 3破壊マウスにおいても誘導し得た.これは毛包成長において,STAT 3依存性と非依存性の2種類のシグナル経路が存在することを意味する.さらに詳細な培養細胞遊走実験によってSTAT 3依存経路と他のシグナル経路とのクロストークの存在が明らかになった.
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