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第98回日本皮膚科学会総会は,桜の花が満開に咲く東京で,4月9日から11日までの3日間を会期に行われた.会頭は東京慈恵会医科大学新村眞人教授,事務局長は上出良一助教授,会場は東京国際フォーラムであった.学会は,総会の後,恒例の会頭講演で始まった.今回の講演内容は,レックリングハウゼン病に関するもので,新村教授の多年にわたる臨床経験の中から貴重な症例の呈示とそれから得られたいくつかの臨床的新所見が示された.私は,その講演で,レックリングハウゼン病という現時点では不治の病といわざるを得ない病気を持った多数(1,500症例以上)の患者,その家族と接してこられた新村先生の苦悩の一部をかいま見た思いがした.特に,先生が,不安におののくレックリングハウゼン病の患者の家族に「何も起こらん,何も起こらん」といって何とか慰めているとのお話には,臨床の原点をみる思いがして感銘を受けた.
今年の皆見賞は,京都府立医大の松木正人先生のProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 95(3):1044-9に掲載されたDefective stratum conneum and early neonatal death in mice lacking the gene for trans—glutaminase 1(keratinocyte transglutalninase)の論文であった.ノックアウトマウスという最先端の手法を用いて皮膚のtrans—glutaminase 1の欠損したマウスを作成したところ,lamellar ichthyosisに近い臨床像が形成されたという報告であった.
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