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第97回日本皮膚科学会総会・学術大会は1998年5月29日〜31日に大阪大学医学部皮膚科学教室の吉川邦彦会頭のもとに開催された.会場となったリーガロイヤルホテルは商都大阪のビジネス街の心臓部である中之島の西端に位置し,大阪というエネルギッシュな街にあってなお落ち着きのあるカルチャースポットであった.わが国皮膚科領域における最大のイベントである本学会の規模は年々増大しているが,今回も応募演題数は一般演題382,学術展示126の合計508題に及んでいた.事務局長の板見智助教授にお伺いしたところ,参加登録者数は2,300名とのことで,日本皮膚科学会会員8,567名のほぼ3.5人に1人が参加したことになる.今回の学術大会の最大の特徴は,21世紀に皮膚科の明るい未来を描くために,皮膚科を取り巻く諸情勢を意識すべく取り上げられた企画が多数みられたことにある.また新しい試みとしては,AADで行われているように事前登録制で28テーマの教育コースを設けたこと,SIDのように応募演題より選出してプレナリー講演を行ったことが挙げられる.これらの会場はいずれも盛況であり,皮膚科学会会員の意に叶った企画と思われ,関連諸先生方のご苦労の賜物と拝察された.
総会に引き続き吉川邦彦教授の「皮膚科の未来」とのテーマによる会頭アドレスで学術大会がスタートした.初日の天候は生憎くのどしゃ降りの雨ではあったが,会頭が述べられたように考えようによっては絶好の学会日和でもあった.21世紀の皮膚科の未来がばら色の夢であるために,①診療面では,境界領域疾患への他科からの進出をくいとめ皮膚科の専門性を大切にしつつ,新たな領域(皮膚外科,心身医学,環境医学,老人医療など)へも視野を広げる必要性を,②教育面では,大講座制取り入れによる教育再編と皮膚科教育単位数の減少にどのように取り組むべきかを,③研究面については,皮膚科の範疇を越え応用可能な研究を心掛けるようにすることを述べられ,その例として教室の山口裕史先生,佐野栄紀先生の研究を紹介された.
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