Japanese
English
今月の症例
新生児エリテマトーデス—母体へのステロイド投与により房室ブロックの消失を見た1例
Neonatal Lupus Erythematosus: Disappearance of Atrioventricular Block after Administration of Corticosteroid to the Mother during Pregnancy
石丸 咲恵
1
,
伊崎 誠一
1
,
北村 啓次郎
1
,
森田 豊
2
Sakie ISHIMARU
1
,
Seiichi IZAKI
1
,
Keijiro KITAMURA
1
,
Yutaka MORITA
2
1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科学教室
2埼玉医科大学総合医療センター産婦人科学教室
1Department of Dermatology, Saitama Medical Center
2Department of Obstetrics & Gynecology, Saitama Medical Center
キーワード:
新生児エリテマトーデス
,
抗SS-A抗体
,
先天性心ブロック
,
ステロイド剤
Keyword:
新生児エリテマトーデス
,
抗SS-A抗体
,
先天性心ブロック
,
ステロイド剤
pp.751-755
発行日 1991年9月1日
Published Date 1991/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900438
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患者は3カ月,女児.生後1カ月より顔面・耳後部に環状の紅斑が出現.組織像にて基底層の液状変性および真皮内の小円形細胞の浸潤を認めた.また,免疫組織像にて基底膜にC3,IgMの線状沈着が認められた.抗SS-A抗体・抗SS-B抗体共に陽性.紅斑は,生後6カ月で自然に消失した.母親にSjögren症候群の既往があり,さらにSweet症候群を合併したため,妊娠中に母体に対しステロイド剤を投与していたところ,胎児期に認められた房室ブロックが出生時には消失していた.我々は,抗SS-A抗体により惹起された房室ブロックが,ステロイド剤により抗SS-A抗体価の低下を見,刺激伝導系に不可逆的変化が現われる前に発症が阻止されたと推論した.自験例は,今後のSjögren症候群の母親の妊娠に際し,胎児の先天性疾患に対する対策の一つとして,貴重な示唆を与えるものであると考える.
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