Japanese
English
原著
Naphthol ASによる色素沈着性接触皮膚炎
Pigmented Contact Dermatitis due to Naphthol AS
河内 繁雄
1
,
川島 忠興
1
,
山崎 自子
1
,
斎田 俊明
1
Shigeo KAWACHI
1
,
Tadaoki KAWASHIMA
1
,
Yoriko YAMAZAKI
1
,
Toshiaki SAIDA
1
1信州大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Shinshu University School of Medicine
キーワード:
naphthol AS
,
色素沈着性接触皮膚炎
,
ネル寝巻
,
苔癬型組織反応
Keyword:
naphthol AS
,
色素沈着性接触皮膚炎
,
ネル寝巻
,
苔癬型組織反応
pp.9-15
発行日 1991年1月1日
Published Date 1991/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900258
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綿のカジュアル・シャツ着用により,頸部・上肢に色素沈着性接触皮膚炎を生じた1例を報告した.貼布試験では着用していたカジュアル・シャツと,1%および0.1% naphthol AS-OLに陽性反応を認めた.臨床症状はネル寝巻による色素沈着性接触皮膚炎に類似したが,頸部全周に色素沈着を認め,掻痒は冬期に限定されない点で異なっていた.頸部皮膚生検組織では苔癬型組織反応を認め,表皮細胞の孤立性好酸性壊死と,これにリンパ球が接する像が認められた.このような組織学的所見はgraft versus host diseaseや扁平苔癬,苔癬型薬疹などのそれに酷似する.したがって本症は通常のアレルギー性接触皮膚炎とは異なるものであって,苔癬型組織反応が関与している可能性が考えられる.このような観点から本症の発症機序につき細胞免疫学的な考察を試みた.なお,naphthol ASの感作能をハートレー系白色モルモットを用いて検討したが,感作性を認めることはできなかった.
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