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平成2年4月20日,21日,信濃川にかかる万代橋のたもと,ホテルオークラ新潟において,会長佐藤良夫新潟大学皮膚科教授のもと,『第6回日本皮膚悪性腫瘍学会総会』が開催されました.第1日目,新潟の空は見事に晴れ上がり,遠く白く雪を残した飯豊の山々もくっきりとその山容を現していました.恵まれた越後の地に発達した新潟の町並みは明るく,また新潟の人々のおもてなしは心から暖かいものでした.この環境の中に全国から338人の皮膚悪性腫瘍に携わる者が集い,それぞれに日頃の臨床,研究の成果を持ち寄り,活発にまた和気あいあいと発表,討論を2日間にわたり繰り広げました.その内容は,特別講演3席,ランチョンレクチャー1席,シンポジウム1席(6題),一般演題59題,展示演題22題と豊富なものでした.特別講演,ランチョンレクチャーシンポジウムは,現在の臨床研究,治療における最新の知見を中心とし,佐藤会長,伊藤雅章事務局長の意図が十分に伝わってくるものでした.以下にこれら発表の内容に触れながらこの学会の印象を紹介致します.
第1日目は4月20日(金曜日)午前8時55分,佐藤会長の開会の挨拶で開幕,午前中に「Bowen病」,「基底細胞癌」の一般演題の報告,並びに濱田忠彌教授(新潟大学ウイルス学)の特別講演が行われました.濱田教授は「アデノウイルス誘発腫瘍の生物学と免疫学」と題し,アデノウイルスのタイプ別による発癌活性の違い,また同じタイプのウイルスから発生した腫瘍においても,その腫瘍免疫性に差があること,またマウスにおいてこの腫瘍免疫の獲得にLyt 1,2リンパ球,macrophageが必要であることが,濱田教授自身のデータから分かりやすく説明されました.何でも濱田先生は我々に分かりやすくするため,この日のため新たにスライドを作成されたそうです.敬服するばかりです.そのお人柄どおり優しく丁寧な講演でした.
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