Japanese
English
症例報告
陰囊に限局して生じた汗孔角化症の1例
A case of porokeratosis only affecting the scrotum
武内 直生
1
,
山西 あゆみ
1
,
熊谷 宜子
1
,
八代 聖
1
Nao TAKEUCHI
1
,
Ayumi YAMANISHI
1
,
Yoshiko KUMAGAI
1
,
Kiyoshi YASHIRO
1
1静岡市立清水病院皮膚科
1Division of Dermatology, Shizuoka City Shimizu Hospital, Shizuoka, Japan
キーワード:
汗孔角化症
,
陰囊
,
p53
Keyword:
汗孔角化症
,
陰囊
,
p53
pp.295-299
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207241
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要約 78歳,男性.初診10年前頃より陰囊に軽度の瘙痒を伴う皮疹が出現し,徐々に増大したため当科を受診した.初診時,陰囊に辺縁が堤防状に隆起し,角化を伴う2 cm大の環状局面を認めた.全摘標本において,辺縁部両端に錯角化円柱を認め,汗孔角化症と診断した.免疫組織化学染色では,病変部の表皮基底層の細胞核にp53蛋白の発現がみられた.p53蛋白とはがん抑制遺伝子の産物の1つであり,細胞周期の制御やアポトーシスの誘導,DNA修復に関与している.悪性腫瘍の発症要因となりうる紫外線や慢性刺激によるDNA損傷に対する修復機構が働いた結果,p53蛋白が誘導され,汗孔角化症の病変部でp53蛋白が発現している可能性が考えられている.本症が陰囊に限局して生じることは稀であり,前癌病変としての性質を持つことから切除するのが望ましいと考えた.
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