Japanese
English
症例報告
骨破壊を伴う結核性膿瘍の1例
A case of tuberculous abscess with bone destruction
太田 円莉
1
,
尾本 大輔
1
,
澤田 雄宇
1
,
岡田 悦子
1
Eri OTA
1
,
Daisuke OMOTO
1
,
Yu SAWADA
1
,
Etsuko OKADA
1
1産業医科大学皮膚科
1Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu, Japan
キーワード:
結核性膿瘍
,
骨結核
,
Mycobacterium tuberculosis
,
前腕
,
免疫抑制患者
Keyword:
結核性膿瘍
,
骨結核
,
Mycobacterium tuberculosis
,
前腕
,
免疫抑制患者
pp.1017-1022
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207148
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要約 84歳,女性.1か月前から急速に増大する皮下腫瘤が右前腕に多発した.2回の皮膚生検と細菌・抗酸菌培養で結核の診断に至らず,画像検査,血清学的検査結果から,サルコイドーシスと診断した.ミノサイクリンの内服で小型腫瘤は消失したが,手関節部腫瘤の増大と関節浸潤がありステロイド内服で治療した.約10か月後に骨破壊を伴う手関節部膿瘍からMycobacterium tuberculosisを検出した.同時に肺多発結節影から粟粒結核と診断した.抗結核薬による全身治療と,結核性手関節炎に対する外科的切除を行い治癒した.結核と確定診断するまでに時間を要し,ステロイド治療により病巣が拡大した.骨関節結核は組織学的に非特異的な肉芽腫を呈し,初期に結核菌が検出される頻度が低いことから,診断が遅れ骨破壊をきたすことがある.難治性の肉芽腫や関節炎をみた際には,常に結核菌感染を鑑別に挙げる必要がある.
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