マイオピニオン
ダーモスコピーにおける色や構造所見の主観的な解釈
外川 八英
1
Yaei TOGAWA
1
1千葉大学医学部皮膚科
pp.10-11
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205922
- 有料閲覧
- 文献概要
ダーモスコピーが皮膚腫瘍の強力な診断補助ツールであることは言うまでもない.例えば臨床経過やダーモスコピーの所見からは早期の顔面や足底の悪性黒子型の悪性黒色腫(メラノーマ)を疑うが,病理組織像を見ると表皮基底層部に異型メラノサイトが散見される程度であった場合,免疫染色を合わせてもその確定診断に迷ってしまうことがある.こういった病変では最終的にダーモスコピー所見を根拠に早期のメラノーマと診断することも少なくない.
一方,ダーモスコピーを行う上で,ある構造所見で観察される色の評価はそれなりの難しさがある.2015年にウィーンで開催されたInternational Dermosocopy Society(IDS)の第4回の国際会議では,客観性を重視したダーモスコピーの記述的表記の使用が承認され,従来の比喩的表記と併用していくことが推奨された.基底細胞癌を例にとると,類円形の色素性構造は記述的表記ではclods,blue(青色塊)と記載される.この青色は比喩的表記ではblue-gray(青灰色)と表現されていた青色に相当し,実際には青灰色や青黒色に近い色調である.またメラノーマにおける表皮内の小胞巣はblack dots(黒色小点)として観察されることがあるが,これは真皮メラノファージの小塊であるblue-gray dots(青灰色小点)とかなり類似した色調でもある.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.