マイオピニオン
疥癬と私—イベルメクチンとマゾッティ反応
和田 康夫
1
Yasuo WADA
1
1赤穂市民病院皮膚科
pp.940-941
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205876
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1.はじめに
疥癬を飼ってみてわかったことがある.疥癬には免疫ができることである.以前,大滝倫子先生から,疥癬には免疫ができることを聞いていた.「私はノルウェー疥癬の人を素手で触ってもうつりませんのよ」と涼しい顔で得意げに言われていた.それを聞いたとき,私は半信半疑だった.というのも,ヒゼンダニは皮膚の角層に寄生している.人体の免疫が,そこまで察知,防衛はしないだろうと思っていたからである.けれども,自分で疥癬の寄生実験をしているうちに,ヒゼンダニが寄生しなくなってしまった.その日にヒゼンダニが皮膚に潜ったとしても,次の日までには脱落してしまうのである.脱落した部位を見ると,点状の紅斑が生じており,免疫反応が起きているのである.今は,角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の患者を,素手で触っても,疥癬がうつることはなくなった.大滝先生と同じ体質になってしまった.
ここではヒゼンダニの飼育,水疱とヒゼンダニの関係,イベルメクチン内服後のマゾッティ反応について述べたい.
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