マイオピニオン
厚生労働省の医系技官を経験して再認識した医師の役割
古田 淳一
1
Junichi FURUTA
1
1筑波大学医学医療系医療情報マネジメント学
pp.566-567
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205793
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1. 厚生労働省の医系技官とは
私は,2016年9月から2年間,厚生労働省(厚労省)に出向して医系技官として働く貴重な機会を得ました.厚労省の医系技官とは,医師免許・歯科医師免許を有し,専門知識をもって保健医療行政に携わる技術系行政官のことです.平成28年(2016年)の医師調査において医師数は32万人弱,主たる診療科を皮膚科として届け出た医師は9,102人(3.0%),日本皮膚科学会認定皮膚科専門医が6,812名(2.1%,2019年2月24日現在)であることに比べて,厚労省の医系技官は約300名です.医師全体の約1/1,000,皮膚科医の約1/30ですから,医系技官の仕事を知っていただく機会が少ないのもやむを得ません.
正規の採用試験を経て採用された,いわゆるプロパーが200名超いて,そのおよそ半数が本省で,他は検疫所や厚生局,国立病院機構などの厚労省関係機関や他省庁,自治体,国際機関などで勤務しています.このほか,厚労省では,専門的な知見・経験を有する医師を人事交流として受け入れています.これは,医療の専門化・高度化が進むなか,これまで以上に現場の実情を踏まえた施策の立案を行うことや,関係学会や派遣元大学等と厚労省との相互理解を深めることなどを目的としています.プロパーの医系技官に加え,大学等から人事交流として2年間程度の有期で採用されている医系技官が100名弱おり,そのほとんどは本省で勤務しています.
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