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文献紹介 糖尿病における好中球のNET形成促進と創傷治癒遷延
平田 佳子
1
1慶應義塾大学
pp.699
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204860
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創傷治癒は糖尿病で遷延しやすく,動脈硬化などが原因と考えられているが,明らかな機序はわかっていない.創傷治癒の初期では好中球の機能が重要であり,2004年に新たにVolkerらは細菌に対する防御機構の1つとしてneutrophils form extracellular traps(NETs)というものを提唱している.NETsは好中球が核内のクロマチンを細胞外へ放出したものであり,細菌を捉えて好中球に貪食させ,また,NETs自体の殺菌作用により感染制御に寄与している.そのほかにも慢性炎症や自己免疫疾患,血栓症に関わり,組織傷害も起こすことから,近年注目されている.
Siuらは1型,2型糖尿病マウスの血漿から好中球を分離し,健常マウスよりもNETs産生(NETosis)が促進されていることを示した.糖尿病マウスは正常血糖マウスと比較してNETsのマーカーであるcitrullinated histone H3(H3Cit)が創部で高値を示し,創傷治癒が遷延した.
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