Japanese
English
特集 臨床皮膚科—最近のトピックス
Clinical Dermatology 1989
II新しい検査法と治療法
がん遺伝子発現からみた皮膚疾患の解析
Ras gene expression in malignant melanoma
小林 仁
1
,
安田 秀美
1
,
大河原 章
1
Hitoshi KOBAYASHI
1
,
Hidemi YASUDA
1
,
Akira OHKAWARA
1
1北海道大学医学部皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Hokkaido University School of Medicine
キーワード:
ras遺伝子
,
p21ras
,
黒色腫
,
色素性母斑
Keyword:
ras遺伝子
,
p21ras
,
黒色腫
,
色素性母斑
pp.614-618
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204130
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Ha-ras癌遺伝子産物(p21ras)に対する単クローン抗体(rp−12,rp−35)を用いて,色素細胞系腫瘍におけるras遺伝子発現を免疫組織学的に検討した.対象は悪性黒色腫(MM)36例,色素性母斑(NP)32例で,蛍光抗体法,ABC法にて観察した.結果は,MMにおいてrp−12,rp−35の反応性は,nodular melanoma, epithelioid cell type,浸潤度の深いものに対して有意に高く,MMの悪性度に相関することが認められた.しかしながらNPにおいても,ABC法ではその陽性率は13/24(rp−12)であり,p21rasの腫瘍内における発現が悪性腫瘍に特異的でないことが明らかにされた.MM,NPともに臨床,組織学的にhetero-geneityを有し,その中でdendrite, melaninの発達が良く,成熟melanocyteに類似する型のものが低反応性を示し,その逆に未熟melallocyteに類似する型のものが,強い反応性を示すことが推測された.
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