Japanese
English
原著
特発性陰嚢石灰沈着症の1例
A Case of Idiopathic Calcinosis of the Scrotum
海老原 全
1
,
桜岡 浩一
1
,
清水 宏
1
,
西川 武二
1
Tamotsu EBIHARA
1
,
Koichi SAKURAOKA
1
,
Hiroshi SHIMIZU
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.437-441
発行日 1988年5月1日
Published Date 1988/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203892
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
51歳男に発症した特発性陰嚢石灰沈着症の1例を報告した.病変部を一塊として摘出し検討を加えたところ,光顕にて真皮内に境界明瞭な結節性病変を認め,結節内には顆粒状,塊状の沈若物質を認めた,電顕では,結節内容物は針状結晶状高電子密度物質により構成されていた.またX線分析を行ったところ,結節内でCaとPのピークが高値に検出され,内容物を生化学的に定量したところ,乾燥重量100mg中,Ca 14.4mg,IP 30.9mgが含有され,Ca3(PO4)2の結晶と推測された.さらに結節周囲の電顕的検討により,活動性の線維芽細胞が多数集積している像が認められ,胞体内に,結節内に認められた針状結晶状高電子密度物質と同様の物質が認められた.以上の所見より本症の石灰化の機序に活動性の線維芽細胞が関与している可能性が示唆された.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.