Japanese
English
原著
皮角を呈したMalignant Trichilemmomaの1例
A Case of Malignant Trichilemmoma Forming Cutaneous Horn
木村 滋
1
Shigeru KIMURA
1
1愛知県厚生農業協同組合連合会知多厚生病院皮膚科
1Department of Dermatology, Chitakosei Hospital
pp.215-218
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203850
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87歳,女性.約1年前から左耳前部に無症候性腫瘤があり,約3カ月前から急に大きくなってきた.初診時,縦20mm,横20mm,高さ10mmの黒色の硬い皮角状腫瘤が単発.所属リンパ節腫脹は認められず.組織像では,腫瘍は,皮膚面にほぼ直交し並列する多数の長い小葉状構造からなる.各小葉構造の辺縁側は多層の好塩基性細胞からなり,最外層には細胞の柵状配列が見られる,各小葉構造の中心部に角質が貯留し,それは腫瘍表面にある大きな角質塊に連続的に移行する.角化の様式はtrichilemmal keratiniza—tion.腫瘍細胞に配列の乱れ,核の異型性,個細胞角化,clumping cellが見られBowen病様である.腫瘍の真皮内への浸潤は見られない.森岡・山口の提唱したmalignanttrichilemmomaと診断.本症の本邦報告例に皮角を呈した例は他に見当たらず稀な例と思われる.角化傾向の強い毛包系あるいは毛包への分化を示す腫瘍であるmalignantproliferating trichilemmal cyst, trichilemmal horn, trichilemmomal hornとの異同を考察した.
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