原著
Malignant Trichilemmoma
青島 敏行
1
,
柳橋 健
2
,
雑賀 興慶
3
,
今村 真治
3
Toshiyuki AOSHIMA
1
,
Ken YANAGIBASHI
2
,
Tatsuyoshi SAIGA
3
,
Shinji IMAMURA
3
1大津赤十字病院皮膚科
2大津赤十字病院外科
3大津赤十字病院中央検査部病理
1Division of Dermatology, Otsu Redcross Hospital
2Division of Surgery, Otsu Redcross Hospital
3Division of Pathology, Otsu Redcross Hospital
pp.1081-1084
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202737
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69歳,男子の頭部に生じたmalignant trichilemmomaの1例を報告した.臨床的には,くるみ大,半球状,表面花野菜様の灰褐色腫瘤である.組織学的には部位によって3つの異なるタイプが存在する.第1は表皮に連続する腫瘍塊で,中心部はPAS弱陽性のclear cell,辺縁部はbasaloid cellからなるもの,第2は表皮内の小葉状構造で,これらは悪性度は中等度である.第3は角化物質を満たした陥凹を取巻く部位にみられるBowen病様の腫瘍巣で,悪性度は高度で,PAS染色性は非常に弱い.これらの組織所見はPAS強陽性ではないが,森岡の定義にあてはまる.本症の発症病理について文献的に考察した.本症にはtrichilemmoma的要素とBowen病的要素が混在している.
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