Japanese
English
原著
中枢神経症状を呈した全身性エリテマトーデスの1例
A Case of Systemic Lupus Erythematosus (SLE) with Central Nervous System Disorder
稲守 美紀
1
,
森田 秀樹
1
,
浅野 翔一
1
,
甲斐 俊朗
2
Miki INAMORI
1
,
Hideki MORITA
1
,
Shoichi ASANO
1
,
Shunro KAI
2
1兵庫医科大学皮膚科教室
2兵庫医科大学附属病院輸血部
1Department of Dermatology, Hyogo College of Medicine
2Division of Blood Transfusion, Hyogo College of Medicine
pp.111-114
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203603
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精神症状,痙攣,昏睡を主徴としたSLEの1例を報告した.症例は20歳の女性.SLEで入院加療中,熱発と精神症状の出現(過換気症候群,見当識障害,記銘力の低下等)があり,同時期より全身の表在リンパ節の腫脹も出現してきた.臨床症状と諸検査の結果より,ウイルス性脳炎を疑い,抗ウイルス剤,グロブリン製剤を投与したが漸次症状は悪化し,痙攣発作出現,ついには昏睡に陥った.そこで,ステロイドの増量を行ったところ,中枢神経症状は速やかに反応し,軽快をみた.患者は,右上肢のごく軽度の運動障害を残したのみで独歩退院した.頭部CTスキャンでは全経過を通し,器質的変化は認められなかった.中枢神経症状出現時に抗核抗体が高くSLEの活動性が示唆されたこと,ステロイドが著効したこと,血中ウイルス抗体価の特異的上昇がなかったことなどにより,本例はSLEによる中枢神経障害(CNS-SLE)と診断した.
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