Japanese
English
原著
Proliferating Trichilemmal Cystの電顕的検討
An Ultrastructural Study of Proliferating Trichilemmal Cyst
宮入 宏之
1
,
高橋 省三
1
,
前田 哲夫
1
,
小田島 陽子
1
,
諸橋 正昭
1
Hiroyuki MIYAIRI
1
,
Shozo TAKAHASHI
1
,
Tetsuo MAEDA
1
,
Yoko ODASHIMA
1
,
Masaaki MOROHASHI
1
1富山医科薬科大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Toyama Medical and Pharmaceutical University
pp.167-175
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202794
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73歳,女性.後頭部に10年来のクルミ大の腫瘤あり.組織学的には,腫瘍巣は大小種々の嚢腫様構造から成り,嚢腫壁は定型的なtrichilemmal keratinizationを示す.またsquamous eddies様構造が多数認められた.電顕的には,嚢腫壁にはグリコゲンを多量に含む細胞が多数認められた.角層下の細胞では小型円形のケラトヒアリン顆粒もみられた.角層では明瞭なdesmosomeが残存しており,脂質滴が集塊状をなすところもみられた.以上の所見は毛包中間部上部および毛包漏斗部下部の構造的特徴に類似していた.
興味ある所見として,トノフィラメント様物質やケラトヒアリン顆粒様物質の核内封入体が,嚢腫壁中央部付近の細胞に認められた.核内封入体の存在は,その細胞の核の異常とともに,角化異常をも示すものであろうと推測した.
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