原著
Eccrine Hidrocystoma
斎田 俊明
1
,
土屋 真一
2
Toshiaki SAIDA
1
,
Shinichi TSUCHIYA
2
1東京大学医学部附属病院分院皮膚科
2埼玉県立がんセンター病理部
1Department of Dermatology, University of Tokyo Branch Hospital
2Department of Pathology, Saitama Cancer Center
pp.617-623
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202659
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64歳女の顔面に多発した典型的なRobinson型のeccrine hidrocystoma(EH).約30年前より小丘疹状皮疹が生じ,発汗時に顕著化することをくり返しつつ,増数してきた.組織学的には真皮内の円形の嚢腫で,その壁は約2層の上皮性細胞で構成されていた.電顕的には,嚢腫壁外層部の細胞は表面に不規則な短絨毛状突起を有し,細胞質内にはmitochondria,glycogen顆粒が多数存在していた.内腔側の細胞は概して暗調で,desmosomeの発達がよく,細胞間の結合は比較的緊密である.この細胞の内腔面には多数の絨毛状突起がみられ,細胞内にはmitochondria,glycogen顆粒の他にlysosome様の高電子密度の顆粒が存在していた.細胞間の内腔側端にはtight junctionが認められた.
EHの組織発生について考察し,少くともRobinson型の本症は,eccrine汗管末梢部での閉塞に多汗の状態が加って生じるretention cystであろうと結論した.
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