Japanese
English
原著
環状の皮疹を呈した先天性表皮水疱症の1例
A Case of Epidermolysis Bullosa Hereditaria with Annular Eruption
安藤 巌夫
1
,
余 幸司
1
,
小川 喜美子
1
,
石橋 康正
1
,
野間 剛
2
Iwao ANDO
1
,
Yu Hsin-su
1
,
Kimiko OGAWA
1
,
Yasumasa ISHIBASHI
1
,
Takashi NOMA
2
1東京大学医学部皮膚科教室
2東京医科歯科大学医学部小児科
1Dapertment of Dermatology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
2Dapertment of Pediatrics, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.573-578
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202651
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7ヵ月男児の先天性表皮水疱症の1例を報告する.生下時に発症し,四肢・体幹に環状紅斑とその上に集簇する小水疱を認める.皮疹は中心部色素沈着を残して治癒し遠心性に拡大する.夏季増悪し外力による機械的な刺激で水疱形成する.瘢痕・爪変形を認めず遺伝型式は常染色体性優性型.組織学的に光顕にて表皮下の水疱を認め表皮真皮間に裂隙が存在する.電顕にて基底細胞の膨化と,その細胞質内に微細顆粒状物質が充満し,トノフィラメントは細胞辺縁におしやられているかの如き所見を得た.また,多核の大型な表皮細胞が散見され,組織培養でも同様の細胞の出現をみた.環状の皮疹を呈した先天性表皮水疱症の報告は,本邦では自験例の他1例のみであり欧米でも数例にすぎない.これらと自験例の異同につき若干の考察を行なったが,Dowling-Mearaらの例と近い症例と考えた.
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