原著
Clear Cell Hidradenoma
斎田 俊明
1
,
田久保 海誉
2
,
土屋 真一
2
Toshiaki SAIDA
1
,
Kaiyo TAKUBO
2
,
Shinichi TSUCHIYA
2
1埼玉県立がんセンター皮膚科
2埼玉県立がんセンター病理部
1Dermatology Clinic, Saitama Cancer Center Hospital
2Department of Pathology, Saitama Cancer Center Hospital
pp.87-92
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202365
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58歳女の右上胸部に生じたclear cell hidradenomaの1例を記載した.拇指頭大の皮内から皮下の結節で,表面は淡紫紅色調.組織学的には,主として類表皮細胞とclearcellおよび両者の移行細胞よりなる腫瘍で,大小多数の管腔ないし嚢腫状構造を伴い,ほぼ典型的.ただし,acinus形成性の円柱状好酸性細胞が少数ながら認められたこと,腫瘍塊全体を取り囲むが如くに大嚢腫壁が存在しており,その壁にgoblet cellやdecapitationの所見が認められたこと,電顕的に一部の腫瘍細胞内に異型mitochondria様の特異な構造物が見出されたことなどの点が注目された.
これらの諸点を検討し,clear cell hidradenomaはおそらくeccrine汗器官の真皮内汗管に由来するepitheliomaであって,その分化方向は主として真皮内汗管であるが,一部に分泌腺部や表皮内汗管への分化を伴うこともある腫瘍であろうと推測した.またclear cellの成因についても私見を述べた.
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