Japanese
English
原著
橋本病を合併せる特発性Addison病(schmidt症候群)
Idiopathic Addison's Disease Associated with Hashimoto's Disease: Schmidt's Syndrome
吉村 邦彦
1
,
濱田 稔夫
1
,
森井 浩世
2
Kunihiko YOSHIMURA
1
,
Toshio HAMADA
1
,
Hirotoshi MORII
2
1大阪市立大学医学部皮膚科学教室
2大阪市立大学内科学第二教室
1Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
22nd Department of Internal Medicine, Osaka City University Medical School
pp.833-838
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202118
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44歳,女.28歳頃より無月経となり,子宮萎縮を指摘された.約3年前より易疲労感があり,腋毛,陰毛の脱落も認められた.約3ヵ月前より顔面,頸部,乳暈,歯齦,手指及び上下肢の)関節部等に瀰漫性の黒褐色色素沈着が出現し,次第に増強して来た.上腕外側及び指掌皺壁の皮膚生検では基底層にメラニン顆粒が著明で,有棘層,角質層にわたっても瀰漫性に認められる.尿中17-OHCSは正常ないしやや低下する程度であったが,rapid ACTH test,ACTH-Z testともにほとんど反応がみられず,また副腎部石灰化像の所見もなく,特発性Addison病と考えられ,また甲状腺は瀰漫性に腫大し,抗microsome抗体が著明に上昇,抗thyroglobulin抗体も経時的に上昇し,またTSHも時に上昇をみることがあり,橋本病に相当するものと思われ,結局,本症例は橋本病を合併した特発性Addison病,すなわちSchmidt症候群に相当するものと考えられる.
治療としてhydrocortisone 1日20mgの連日投与で,易疲労感は間もなく改善され,治療開始5ヵ月目で全身の色素沈着もかなり消失している.併せて自己免疫の関与した多腺性内分泌失調の観点からも考察を加えた.
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