Japanese
English
原著
Addison病の1例
A Case of Addison's disease
高橋 慶子
1
,
北村 啓次郎
1
Keiko TAKAHASHI
1
,
Keijiro KITAMURA
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.817-822
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202289
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21歳,女子,全身諸所の色素沈着を主訴とし,第II度無月経を合併.血中cortisol,尿中17—OHCS,血清Na, K値,好酸球数等すべて正常であるにもかかわらず,水負荷試験,およびACTH testに不応性,さらに血中ACTH,β—MSH測定の結果異常高値が発見され,Addison病と診断しえた1例を報告した.治療としてはDexamethasoneの経口投与にて色素沈着は著明に改善し,電解質異常その他の副作用も認めず,現在もDexametha—soneを継続しつつ経過観察中である。我国で血中ACTH,β—MSHの測定がおこなわれ始めたのは昭和48年頃よりであるが,それ以前にAddison病と似た症状を呈しながら,確診がつかず,Addisonismusとして片づけられていた症例においても,もしこれらの血中ホルモアの直接定量がおこなわれたならばAddison病と診断しえたものもあったかと推察される.また色素沈着の目立つ症例の場合には治療として尿中排泄が遅く,ACTH抑制作用の強いDexamethasoneの投与も一考して良いであろう.
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