原著
Granuloma glutaeale infantum
山崎 紘之
1
,
戸田 浄
1
Hiroyuki YAMAZAKI
1
,
Kiyoshi TODA
1
1東京逓信病院皮膚科
1Department of Dermatology, Tokyo Teishin Hospital
pp.35-39
発行日 1977年1月1日
Published Date 1977/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201683
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Granulorna glutaeale infantumは主として,乳児のおむつ部位に発生する原因不明の肉芽腫性疾患であるが,我々は女児の1歳5カ月という比較的遅い時期に発症した1例を経験した.
患者は未だ離乳をしておらず,栄養状態不良であつた.生後1カ月頃よりおむつかぶれとしてフルコートクリームを常用していた.1歳4カ月頃より左大陰唇,及び陰部外側に紅色結節を生じ漸時拡大してきた.大きさは鳩卵大の暗紫紅色の表面平滑,弾性硬の半球状腫瘤であり,一つは小指頭大である.いずれも境界明瞭で皮下組織との可動性を有する.皮疹は発症後2カ月頃より無加療にて消退し始め5カ月後ほぼ消失した.
組織は不全角化を伴う軽度の角質増殖と表皮の肥厚,一部顆粒層の肥厚を示しexozytoseを散見する.真皮上層から下層に多形核白血球,好酸球,リンパ球,形質細胞の浸潤が著明な肉芽腫像である.
真菌類は証明されなかつた.
本症の発生原因は未だ明らかではないが,過去の症例と自験例を比較し,発生原因,治療等に言及した.
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