Japanese
English
原著
悪性リンパ腫に合併した汎発性単純疱疹
GENERALIZED HERPES SIMPLEX COMPLICATING MALIGNANT LYMPHOMA
猿田 隆夫
1
,
木村 秀人
1
,
大隈 貞夫
1
,
中溝 慶生
1
,
光山 正男
2
,
加地 正郎
2
,
日野 由和夫
3
Takao SARUTA
1
,
Hideto KIMURA
1
,
Sadao OKUMA
1
,
Yoshio NAKAMIZO
1
,
Masao MITSUYAMA
2
,
Masaro KAJI
2
,
Yuwao HINO
3
1九州大学温泉治療学研究所皮膚科教室
2九州大学温泉治療学研究所気候内科教室
3九州大学ウイルス学教室
1Department of Dermatology, The Institute of Balneotherapeutics, Kyushu University
2Department of Bioclimatology and Medicine, The Institute of Balneotherapeutics, Kyushu University
3Department of Virology, Kyushu University
pp.719-726
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201636
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悪性リンパ腫の経過中に,汎発性単純疱疹の出現をみた43歳,男の症例を報告した.
悪性リンパ腫は,頸部,鼠径部,腋窩のリンパ節腫大と,全身皮膚の播種状小結節としてみられ,光顕的,電顕的に悪性リンパ腫と診断した.検査所見ではIgAの減少,ツベルクリン反応陰性で,末梢血,骨髄像はほぼ正常であつた.VEMP療法開始1カ月後,全身皮膚に水疱形成をみたが,電顕的にヘルペスウイルスを認め,水疱内容のVero細胞接種により翌日,CPEを認めたことから単純疱疹と診断した.この際,CPEの形態で円形綿胞の弱い結合を認め,また水疱組織の電顕所見で核内に線維状構造を認めたことから,分離単純疱疹ウイルスは2型と同定した.また興味ある所見として,水疱底部の下方の真皮に浸潤している腫瘍細胞内にも,その核および細胞質に電顕においてヘルペスウイルスを認めた.本例は悪性リンパ腫に合併した汎発性単純疱疹としては,本邦における第1例である.
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