Japanese
English
原著
リンパ管(広義)の管腔中にみられた赤血球ならびにその由来について
ERYTHROCYTE OBSERVED IN THE LYMPHATIC LUMEN AND ITS ORIGIN
大熊 守也
1
Moriya OHKUMA
1
1東京医科歯科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University, Yushima, Bunkyo-ku
pp.761-764
発行日 1974年11月1日
Published Date 1974/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201361
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
組織標本の管腔中に,赤血球がみられるからこれはリンパ管でなくて血管であるという議論をよく耳にするが,このことが必ずしも正しくないことを示す為に,次の実験的材料を検索した.即ち,A.生体組織内での病的変化による出血,B.組織中に溶液を注射する,C.組織片をメスで切り出す,以上三つの事柄の種々の組合わせを作り,1.A+B+C,2.B+C,3.B,4.A,B,Cいずれもないもの等の試料を光顕並びに電顕的に観察した.
電顕的に基底板の欠如することにより,毛細リンパ管と同定された管腔中にも赤血球が存在し,その由来として,組織が病的変化を生検時以前に受けていない場合は,生検中に赤血球が結合組織部よりリンパ管腔中に取り込まれたものと思おれる.また結合組織部に赤血球が存在する原因の一つとして,生検時の局麻,あるいは,リンパ管拡張の目的で組織内に液を注入することが考えられる.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.