皮膚科学の流れ 人と業績・20
Louis Duhring
高橋 吉定
pp.64-67
発行日 1972年1月1日
Published Date 1972/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200934
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
(前回から続く)
疱疹状皮膚炎(Dermatitis Her-petiformis)5)
わたしが診察した皮膚病のうちの多数の症例を"疱疹状皮膚炎(Der-matitis Herpetiformis)"の名称の下に統括することを提言する.従来これらの症例は,湿疹,疱疹または天庖瘡のような周知のありふれた疾患のいずれかの特殊な現われと診断され,あるいは未記載の疾患と見做されて来た.
このようにいろいろ形を変える疾患が存在し,これら種々の皮膚表現が一つの病的過程によることには疑う余地がない.いくつかの重要な変つた形を陳述してこの点を説明しよう.変つた形というのは,湿疹の症例に見るように,ある種の発疹が主となることによるのである.説明を行なう前に,本症のすべての形に共通する症状に言及したい.これについて今まで特に触れた人はなかつたのである.重症例においては発疹発生に先だつ数日間通例前駆症が存在し,これは不快感,便秘,発熱,悪寒,熱感あるいは交互に来る熱感と冷感である.瘙痒もまた発疹の数日前から存在するのが一般である.軽症においてさえ,軽い全身障害が発疹に先だつてあるいはそれとともに起こる.発疹はその発症あるいは進行が徐々のこともあり,急激のこともある.まれならずそれは急激であつて,ある種の皮疹が数日間に瀰蔓性にあるいは局面をなして皮面の大部分に発生し,激しい瘙痒または灼熱感を伴う.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.