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著者は最近まで正常表皮のLang-erhans細胞のみに特異的とされていた,いわゆるLangerhns顆粒の存在を電顕的観察により,本誌巻頭のカラー図譜に掲載されているLetterer-Siwe病の8カ月男児の真皮病巣部の病的組織球(いわゆるLetterer細胞)の細胞質内に証明した。この事実にもとづいて,①Letterer-Siwe病と,さきに同様顆粒の存在が報告されているhistiocytosis Xのeosinophilic granuloma型との関連性,ならびに②これらの病的組織球と,正常表皮のLangerhans細胞との相互関係および③いわゆるLangerhans顆粒について若干の考察を試みた。まずhistiocytosis Xについては,Letterer-Siwe病をeosinophilic granuloma,Hand-Schuller-Christian病とともに,histiocytosis Xという名称のもとに単一疾患の表現型を異にしたものと考えることの妥当性を論じた。また,Langerhans細胞の由来に関しては,従来大別してmelanocyte近縁説および末梢神経説の2説が唱えられてきたが,さらにLangerhans細胞がmesenchymalな組織球に由来したものである可能性があると考えた。次いでLangerhans顆粒生成の場とその役割については,従来いわれている2つの説であるGolgi装置で生成され,何かを細胞外に分泌しているという説と,細胞膜から形成され,細胞外から何かをとり込んで(endocytosis)いるという説を列挙して,得られた所見のみからは未だどちらとも結論を下し得ないことを述べた。
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