〈原著論文抄録〉
Reticulohistiocytosis(皮膚型),他
田久保 浩
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
pp.941
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200396
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細網組織球性細胞より成る一種の細網症で高度に多核巨細胞の出現する一群にreticulohistiocytoma,或いはreticulohistiocytosisと呼ばれる疾患がある。現在本症には皮膚のみに限局して起る皮膚型と,粘膜・関節・骨等をも侵し特異な全身症状な呈する全身型が区別されているが,著者はこの皮膚型と思われる単発性の本症を報告した。
症例は26歳男子会社員,約1年前より存在する左耳後部の硬結である。外傷等の誘因なく,自覚症状もない。硬結は初診時1.2×0.7cmであつたが,手術時には略半分の大きさに自然縮小していた。組織学的に多数の多核巨細胞を混えた細網組織球性細胞が,真皮深層に稠密に限局して浸潤し,肉芽腫状を呈し,この巨細胞原形質はスリ硝子状。原形質内に糖質及び脂質を少量,複合物質の形で不規則に含有していた。併せて全身型との異同につき若干の考按を試みた。
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