〈原著論文抄録〉
皮膚におけるPolyvinylpyrrolidon沈着症例,他
福士 堯
1
,
上原 伸一
1
,
高谷 彦一郎
2
,
鈴木 啓充
3
,
田村 弘幸
3
1青森県立中央病院皮膚科
2青森県立中央病院病理検査科
3近藤病院
pp.1121
発行日 1967年10月1日
Published Date 1967/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200234
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第1例,45歳,男,水産業。右中足骨析後の障害治療の目的で,中分子PVP 280gおよび分子量不詳のPVP 111gの投与をうけた。経過中に,皮膚に異常感(ちくちくする疼痛とも瘙痒ともつかない感じ),眼瞼浮腫を訴えた。他に特記すべき皮疹をみない。検査事項中,赤沈値亢進,血清ルゴール反応強陽性,PSPの低下をみた。組織学的に,皮膚においては,Congo red染色上,真皮小血管の傍に,陽性に染る顆粒状物質の堆積をみた。表在リンパ節においては,H.E.染色上,泡沫細胞,巨細胞をみ,Congo red染色上,前記細胞は,陽性に染まつた。数ヵ月を経るも,皮膚の異常感,眼瞼浮腫に改善をみなかった。
第2例,25歳,男,豊業。視神経網膜炎治療の目的で,低分子PVP,1日6g連日投与を受け,総量は450gに達した。経過中に,主に上半身に,第1例と同様の皮膚異常感を訴えた。特記すべき皮疹をみない。検査事項中,特に異常所見をみない。組織学的に,皮膚においては,Congo red染色上,真皮全層,表皮の一部,真皮小血管沿いに,陽性に染る顆粒状物質の沈着をみた。又表在リンパ節においては,H.E.染色上,若干の泡沫細胞をみた。Congo red染色上,泡沫細胞が陽性に染まる他,特にリンパ節辺縁部において,陽性に染まる顆粒状物質の沈着をみた。第2例においてはPVP投与中止後の6週目には,異常感が可成に改善した。又組織学的にも,皮膚においてCongo red陽性の顆粒状物質の減少をみた。
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