〈原著論文抄録〉
手指皮膚炎の諸原因,特にその検索法について,他
石原 勝
1
,
木根淵 承一
1
1東京逓信病院皮膚科
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200123
- 有料閲覧
- 文献概要
手指に限局して湿疹皮膚炎病巣を示す症例を手指皮膚炎と定義し,特殊型としてゴム手袋,時計バンド,指輪皮膚炎を挙げた。本症の約8割は女性であり,特に20〜30歳台に多発し,夏期に発症,増悪する症例が多かつた。
本症の成因として日常の諸接触物質を重視すべきではないかと考えて,A.環境諸因子の調査,B.病巣のpatternと原因物体との関係,並びに,C.診断用諸検査(貼付,貼付照射,液浸,使用試験)による検討を併行施行した。その結果本症の典型的42例のうち15例に原因又は増悪因子を考えうる物体を検出したが,原因検出の端緒となつた検査法はA(53.8%),C(30.8%),B(15.4%)の順序であつた。貼付試験のうち,一般症例に比し,本症に特に高率の陽性反応を示したのはゴム,金属類,フオルマリン等であり,これらを含有する諸物質を成因上重視せねばならないが,貼付試験の結果のみで原因物体を明らかにすることは屡々困難である。事実本症患者の87.5%は貼付試験上何らかの化学物質に陽性反応を示している。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.