〈原著論文抄録〉
女子顔面再発性皮膚炎と化粧品,他
岡崎 薫
1
,
田浦 直
1
,
野中 薫雄
1
1長崎大学皮膚科
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200089
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著者らは女子顔面再発性皮膚炎と化粧品との関係に着目し,本症患者33名および対症として健康女子10名についてそれぞれ使用した化粧品で貼布試験を行い,一部では24時間後に太陽灯を50cm 5分間照射した。その結果33例329件中29例92件が陽性,4例49件が疑陽性であり,対照では10例7件中6例12件が陽性,1例12件が疑陽性であった。しかし両者を比較してみると,明かに症例では多品目に陽性を示すものや強い反応を示すものが多い。種類別ではフアンデーション・下地クリーム,乳液,洗顔料化粧水等基礎化粧料が陽性を示すものが多かった。太陽灯照射例では18例182件中23件が反応増強を,43例で減弱,他は不変であり,乳液で増強傾向,マッサージクリーム,白粉,化粧水で減弱傾向を認めた。
次に男女各30例について前額中央部と前腕屈側中央部の皮膚pHを測定したところ,女性の前額中央部のpH値が対照としての男性の同部位や女性の前腕の値よりはるかに高値に示す。これは化粧品のpH値が高い値を示すものが多い事と考え合すと化粧品塗布による顔面への影響の1つではないかと考えた。又,不明6例を除く27例中,陽性化粧品の中止により20例,74.1%が治癒,4例,14.8%が軽快し,不変は3例に過ぎなかった事から化粧品がallergenとして作用するにしろprimary irritantとして作用するにしろ,本症の成因における化粧品の意義は大きいものと考える。
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