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文献紹介 水疱性類天疱瘡の患者では,熱ショック蛋白質90の発現と分泌に異常がみられる
熊谷 宜子
1
1慶應義塾大学
pp.625
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104089
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細胞がストレス条件下にさらされた際に発現が高まる熱ショック蛋白質(Hsp)の1つとして知られるHsp90は,生体内での炎症反応に関与し,いくつかの自己免疫疾患のマウスモデルではその抑制による治療効果が示されている.
この論文では,代表的な自己免疫性水疱症である水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)の患者におけるHsp90の発現量および分泌量について解析が行われた.健常人と比較して,BP患者の皮膚ではHsp90の発現が高いものの,血清中ではHsp90の量は低下しており,抗BP180抗体価との逆相関がみられた.また,BP患者での末梢血単核球内でHsp90が高発現していることに加えて,その分泌は限定的に行われることが示された.さらに,ヒト表皮角化細胞株であるHaCaT細胞にBP患者血清またはBP180蛋白のNC16A領域に対する自己抗体を作用させると,HaCaT細胞内でHsp90の高発現が誘導され,限定的な分泌がみられることが示された.
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