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文献紹介 毛包幹細胞は色素幹細胞の機能的ニッチとしての役割を担っている
土井 亜希子
1
1慶應義塾大学
pp.967
発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103107
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17型コラーゲン(COL17A1/BP180/BPAG2)が欠損した接合部型の先天性表皮水疱症では脱毛や毛包の萎縮をきたすことが知られる.本論文では17型コラーゲンが毛包幹細胞のみならず,色素幹細胞の維持においても必須であるということ,つまり毛包幹細胞が色素幹細胞のニッチとしての役割を担っていることが明らかにされた.
通常,毛包幹細胞では17型コラーゲンが高発現している.しかし,著者らが17型コラーゲンノックアウトマウスを作製したところ,生後12週頃よりマウスの白髪化がみられ,後に脱毛を生じた.17型コラーゲンノックアウトマウスの毛包幹細胞は恒常性を保つための休眠状態を保つことができず,その結果として毛周期も破綻していた.また,生後8週頃からケラチン15などのマーカーで標識される毛包幹細胞が消失しはじめており,17型コラーゲンが欠損すると毛包幹細胞が維持されず,脱毛をきたすことが明らかとなった.
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