Japanese
English
症例報告
著明な浮腫により膠原線維間に裂隙が生じ,水疱様外観を呈した石灰化上皮腫の1例
A case of calcifying epithelioma with bullous appearance derived from intradermal fissure by extream edema
中野 倫代
1
,
若林 正一郎
1
,
末廣 敬祐
1
,
外川 八英
1
,
鎌田 憲明
1
,
神戸 直智
1
,
松江 弘之
1
Michiyo NAKANO
1
,
Seiichiro WAKABAYASHI
1
,
Keisuke SUEHIRO
1
,
Yaei TOGAWA
1
,
Noriaki KAMADA
1
,
Naotomo KAMBE
1
,
Hiroyuki MATSUE
1
1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学
1Department of Dermatology,Chiba University Graduate School of Medicine,Chiba,Japan
キーワード:
石灰化上皮腫
,
水疱様外観
,
リンパ管
,
抗D2-40抗体
Keyword:
石灰化上皮腫
,
水疱様外観
,
リンパ管
,
抗D2-40抗体
pp.669-672
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102685
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要約 18歳,女性.初診の3か月前より左上腕外側に皮下結節を自覚した.2か月前より表面が紅色調となり,水疱様外観を呈した.単純X線で皮下に石灰化像,超音波検査で後方エコーの消失を認め,石灰化上皮腫を疑い全摘術を施行した.病理組織検査にて,皮下の腫瘍はbasophilic cellとshadow cellより構成される石灰化上皮腫であり,腫瘍直上の真皮には著明な浮腫と拡張した管腔構造を認めた.水疱様外観を呈する機序として,外的刺激によりリンパ管の狭窄や閉塞が起こり,それによりリンパ管の拡張や真皮の浮腫が生じるためとされてきた.しかし,自験例では管腔構造は,第Ⅷ因子関連抗原陰性に加え,リンパ管内皮と反応する抗D2-40抗体陰性であり,管腔様構造を呈した変化は,著明な浮腫により膠原線維間に裂隙が生じたものと推測した.
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