書評
―著:名郷直樹―「人は死ぬ」それでも医師にできることへき地医療,EBM,医学教育を通して考える
飯島 克巳
1
1いいじまクリニック
pp.844
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102437
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何だ.どういう意味だ.書名を見て,そう思った.本を読んでいくうちに,その疑問が解けた.著者が責任者を務める地域医療研修センターでは,地域医療の特徴の第一として,「万物は流転する」を挙げている.つまり,人は死すべき存在であるという事実をまず踏まえるのである.したがって,この事実を踏まえて医療を行うということは,患者を見捨てない態度を取り続けることになる.患者に対して,「医学的にこれ以上できることはありません」とは決して言わない.その代わりに,「何か言うべきこと,やるべきことがある」と考えるのである.
地域医療の次の特徴として,「あらゆる問題に対応する」ことが挙げられている.つまり,患者のあらゆる必要に応えるということである.決して,専門外であるという理由をもって患者を拒絶することはしない.そのために,「多様な視点を」を持ち,「患者のナラティブ―物語り」を聴き,「専門科や専門職の種類」を超えて対応するのである.このように地域医療とは,人々に寄り添う医療であるということがわかる.
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