Derm.2009
悩みのシフトとタッチ
小林 裕美
1
1大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学
pp.63
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102303
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「これまで,何軒も病院を回ってきましたが,私の頭に触ってくださったのは先生が初めてです.嬉しい!」.多発性円形脱毛症の患者さんの初診時のことでした.「私の頭は,髪が抜けているうえに汗が混じってベタベタで,誰だって,触りたくないほど気持ち悪いのはわかっていたのです.ですから余計に,触りもせずに『脱毛症です.薬を出しておきましょう』と言われるたびに,ああ,またかという気分になっていました.今日,初めて私の頭に触ってくれる先生に会えました.それだけで,治りそうに思えます.」
恩師の「皮膚科の診察では皮疹を手で触ることが重要である」というお言葉がよみがえり,こんな風に役に立つという意味もあったとは!とその深さに感じ入りました.
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