Derm.2008
とびひ事件
吉成 康
1
1浜松医科大学皮膚科
pp.41
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412101974
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わが家の長男の話ですが,長男は生後間もないころから顔面の湿疹がひどく,顔面や体にはいつも搔破痕ができていました.乳児脂漏性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎と考えキンダベート®軟膏の外用を開始し,これによりしばらく良い状態を保っていました.もうすぐ1歳になる7月のある暑い時期に,額から頭頂部にかけて点状の痂皮が付着するようになり,強いかゆみを伴っていました.暑さのために湿疹が悪化したのだろうと考え,キンダベート®軟膏をいつもより多く塗ってみましたが,一向によくなりません.でもまあそういうこともあるだろうと考え,そのまま様子をみていました.ある日,妻が長男の10か月健診に行ってきました.私が仕事から帰ると,「健診に行ったら,先生が長男を見た瞬間,額を指さして『あっ,ここにとびひがあるね』といわれ,セフゾン®細粒を処方された」とのこと.よく見ると,付着している痂皮はやや黄色調であり,周囲の皮膚は少し赤く腫れぼったい感じでした.「そうか,とびひなのか,そう言われればそうかもしれない.まあでも湿疹にちょっと二次感染したぐらいかな,セフゾン®を飲めば少し良くなるかもね」などと妻に話していましたが,びっくりしたことに,セフゾン®細粒を内服して翌日には,ちょっと良くなるどころか,完全に治っていました.昨日までなんとなく不機嫌っぽかった息子の顔も笑顔になっていました.セフゾンの効果に驚くとともに,あれは湿疹ではなく伝染性膿痂疹であったかと考えを改めました.
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