Japanese
English
臨床研究
天疱瘡における抗デスモグレイン抗体価の再上昇と臨床症状の再燃の関連性についての検討
A study on the association of re-rising of anti-desmoglein autoantibody titers with recurrence of the clinical symptoms in patients with pemphigus
岸本 和裕
1
,
金子 史男
2
Kazuhiro KISHIMOTO
1
,
Fumio KANEKO
2
1竹田そう合病院皮膚科
2福島県立医科大学医学部皮膚科学教室
1Division of Dermatology,Takeda General Hospital
2Depertment of Dermatology,Fukushima Medical University School of Medicine
キーワード:
自己免疫性水疱症
,
天疱瘡
,
ELISA
,
抗デスモグレイン抗体価の再上昇
,
臨床症状の再燃
Keyword:
自己免疫性水疱症
,
天疱瘡
,
ELISA
,
抗デスモグレイン抗体価の再上昇
,
臨床症状の再燃
pp.277-282
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100446
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
福島医大皮膚科において最近14年間に経験した天疱瘡患者44例(粘膜優位型尋常性天疱瘡 PV-M:7例,粘膜皮膚型尋常性天疱瘡 PV-MC:17例,落葉状天疱瘡 PF:20例)のうち臨床的に活動期→軽快→再燃という一連の変化をとった6例(PV-M:5例,PF:1例)について抗Dsg抗体価を測定し,再燃時の抗体価を活動期および軽快期の抗体価と比較検討した.150以上の高抗体価を示す症例では,至適血清希釈倍率および真の抗体価を求めたうえで解析した.その結果,1) 臨床症状の変化と抗体価の変動には強い相関が認められた(皮膚症状とDsg1スコア,口腔粘膜症状とDsg3スコア).2) 再燃時の抗体価を活動期と比較したところ,活動期の抗体価を100%とすると,7~82%まで再上昇した後に症状が再燃することがわかった.10%前後の再上昇でも再燃する例が散見されるため,注意が必要である.しかし,最高でも82%の再上昇前には症状が再燃するため,その前に対応可能と思われる.3) 再燃時の抗体価を軽快期と比較したところ,1.55~9.59倍の再上昇で再燃しており,少なくとも1.55倍以上抗体価が上昇しないと症状が再燃しないことが判明した.以上より,定期的に抗Dsg抗体価を測定することに加え,活動期および軽快期の抗体価と比較検討することにより,再燃の早期予測の精度が向上するものと考えた.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.