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大きいことはいいことだ?(Everything is big)
アメリカでは,何でも大きい.家が日本の家に比べると格段に大きいのは,広大なアメリカの土地を考えるとわかるが,そこで育ったものも,大きいのである.スーパーに行くと,大きな野菜がごろごろしている.キュウリなんて,日本の大根のような太さだし,なすびも丸々と太って,瓜のようにふくらんでいる.ここで育った家畜も大きいのかどうかは知らないが,肉類も日本のような100g単位で売るのではなく,1パウンド(454g)を単位に売られる.牛乳も,1l容器なんて上品な細いものでなく,1ガロン(3.78l)のずんぐりした容器で売られる.レストランの水もファストフードの飲み物も,高さ20cmぐらいのどでかいコップに氷をふんだんに入れて出てくるし,映画館のポップコーンもバケツのような容器に入っている(図).これらを食べて,この広大な土地で育ったアメリカ人が大きくなるのも,何となくうなずける気がする.そしてまた実際に,アメリカ人は小さなものよりも大きなものが大好きなのである.
私たちは皮膚科医であるから,治療に外用薬を処方するのは日常茶飯事だが,この外用薬も大きい.日本では,部分的な湿疹には5gチューブ,10gチューブを処方していた私であるが,こちらでそんなことをすると,サンプルを処方したのかと怒られるし,実際に5g,10gチューブなんて存在しない.最低でも15gチューブ,時には30gチューブが最小だったりする.実際に処方するのは30gや60gチューブが多いが,全身に皮疹があると60gチューブを何本も処方したり,また1パウンドの容器に入った外用ステロイドを処方することになる.
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