特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき
5.高齢者の嗅覚障害・味覚障害
①高齢者の嗅覚障害
三輪 高喜
1
,
古川 仭
1
1金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.90-94
発行日 1998年4月30日
Published Date 1998/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902703
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はじめに
高齢化社会の到来とともに様々な問題が起こりつつある。耳鼻咽喉科医にとって対応すべき問題に,加齢に伴って増加する疾患,すなわち悪性腫瘍と感覚障害が挙げられる。
嗅覚障害は他の視覚障害や聴覚障害と比べて,その重要度および患者自身の生活の質の低下という点では大きな問題とはならないため,なおざりにされてきた感は否めない。しかし,高齢者のみの世帯の場合,ニオイがわからないとガス漏れや火災発生に気づかない,食品の腐敗に気づかないなど致命的な結果をもたらす可能性がある。また,近年,潤いのある質の高い生活への欲求は年々高まっており,その点からもこれまで軽視されがちであった嗅覚への関心は高まりつつある。そこで,ここでは高齢者の嗅覚障害について論じる。
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